こんにちは!薬剤師ケイティです。
今日は、しめじに多く含まれる、「オルニチン」という成分のパワーを見て行きましょう!
「オルニチン」を聞いたことがある人は、もしかしたら
「シジミ(貝)に多く含まれる」とか、「二日酔いに効果的」などのイメージがあるかもしれません。
しかし実はこのオルニチン、脂肪の燃焼を助けてくれたり、美肌対策になったり、
その他にも様々な効果が分かってきています。
さらに、(●)栄養成分のところでもご紹介した通り、
きのこのオルニチン含有量は、なんとシジミの5~7倍!
なんときのこにはシジミの5~7倍ものオルニチンが含まれています。
シジミ100gあたりのオルニチン含有量が10~15㎎なのに対して、
きのこ100gあたりに含まれるオルニチンの量は、ブナシメジ140㎎、ブナピー110㎎(ホクト調べ)。
オルニチンの摂取には、きのこを意識的に食べることがおすすめです。
出典:キノコのホクトさんHPより
では実際に、オルニチンとは私たちの体の中で、どのような働きをしてくれているのでしょうか?
オルニチンとは
オルニチンはアミノ酸の1種で、有害なアンモニアを尿素に変換する「尿素回路」で活躍する物質の一つです。オルニチンは「アルギニン」という物質が分解された時にできる物質で、アルギニンの代謝において重要な役割を果たしてくれます。
(アルギニンは天然に存在するアミノ酸の1つで、肉類、ナッツ、大豆、玄米など様々な食べ物にも含まれています。尿素回路の中にも出てきて、アンモニアの解毒を助ける。
アルギニン→オルニチン+尿素 に分解されます)
オルニチンは、ブナシメジ、ホンシメジの他に、シジミ、ただちゃ豆、ハタケシメジなどにも多く含まれます。
<オルニチンの働き>
肝臓の働きを助ける
肝臓は、アンモニアをはじめとする様々な物質の解毒や、コレステロールの生成・貯蔵、たんぱく質やアミノ酸の生成、エネルギー生成に関与する、大事な器官です。
肝機能の指標は、オルニチンの摂取により、γ-GTPの数値が有意に改善し、
ALTの数値も改善する傾向がわかりました。
これらの結果から、オルニチンの摂取により、肝機能が改善する可能性が考えられます。
(協和発酵バイオの健康成分研究所)
肝臓での代謝や解毒、エネルギー産生が改善されることなどから、
二日酔い対策や疲労回復にも効果があると考えられています。
脂肪の代謝を助ける
(もちろんオルニチンだけではダメですが、燃焼系アミノ酸と呼ばれ、ダイエット効果も期待できる)
成長ホルモン分泌促進
成長ホルモンは、多くの場合、10代の成長期の時に一番多く分泌されますが、それ以降は年齢とともに急激に分泌が減っていきます。
それが正常であって、歳を重ねても成長期の時と同等の成長ホルモンが出続けている状態は、それはそれで、また別の病気になってしまいます。
しかしながら、年齢を重ねてからも、量の少ない成長ホルモンは出続けている状態であり、
この成長ホルモンを多少多く出るようサポートすることに、
オルニチンは一役買ってくれていることが分かりました。
<成長ホルモンの働き>
・nordicareAGHD
https://www.nordicare-aghd.jp/content/Japan/AFFILIATE/www-nordicare-aghd-jp/ja_jp/home/about/growth/working.html
髙野順子, 髙野幸路. GH/IGF-Ⅰ の生理作用. 千原和夫他監修. 成人成長ホルモン分泌不全症の臨床. メディカルレビュー社, 21-36, 2006 より作成
運動習慣のない22歳前後の健康な男性10名を対象に、オルニチン、またはプラセボを体重1kgあたり100mg摂取させ、ダンベル運動をおこないました。
そして運動の30分後に成長ホルモンの分泌量を測定し、摂取前と比較したところ、オルニチン摂取群の成長ホルモンが優位に高かった。
(協和発酵バイオの健康成分研究所)
成長ホルモンは、育ち盛りのお子さんに重要なことはもちろんのこと、それを過ぎてからも私たちの体を支えてくれているのですね。
もちろんオルニチンのみならず、他の栄養素もバランスよく摂取してください。
美肌
オルニチン摂取により、成長ホルモンの分泌がアップしている可能性が示唆されたことは、上記でお話ししました。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、コラーゲン合成促進作用や細胞増殖促進作用があるため、結果的に美肌にも効果があると考えられています。
またこのような研究も、ご参考までに掲載いたします。
オルニチンを摂取することで、「肌の弾力(肌のハリ)」と「かくれジミ」の改善が示唆されました。
日ごろから疲れを感じており、かつ肌質が悪いと感じている成人女性において、オルニチンを摂取すると、プラセボ摂取に対して、「肌の弾力」を示す値が上腕部で有意に上昇しました。また、VISIA解析では、顔の「かくれジミ」の数がオルニチン摂取に有意により減少しました。
<研究内容>
疲れ気味で、かつ肌質が悪いと感じている25〜60歳までの健康な日本人女性39名を対象として、被験者を無作為に2グループ(オルニチン摂取グループ19名、プラセボ摂取グループ20名)に分け、それぞれの試験食品を8週間毎日摂取し、試験開始日・4週目・8週目にキュートメーターとVISIA(それぞれ、機械)により肌質を測定しました。
結果の評価は、試験開始時におこなった、疲労のアンケートにおいて、より疲れを感じている方を対象としました。
(協和発酵バイオの健康成分研究所)
睡眠の質を上げ、メンタルヘルスをサポート
医学論文サイトでは、オルニチンとメンタルヘルス・ストレス・睡眠に関する論文が、多数掲載されています。
その中でも興味深いものは、このような内容です。
オルニチン摂取により、メンタルストレスの軽減や、睡眠の質の向上などが期待できるかもしれません。
L-オルニチンは、必須ではない、タンパク質ではないアミノ酸ですが、研究結果により、経口投与したオルニチンが動物のストレス反応を軽減することが示されています。ストレスを和らげ、人間の睡眠と疲労の症状を改善することが分かりました。オルニチン群では怒りが軽減され、自覚的な睡眠の質が改善されました。オルニチンの摂取は、客観的および主観的に、ストレスを和らげ、疲れに影響される睡眠の質を改善する可能性があります。
<参考HP>
協和発酵バイオの健康成分研究所
・https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/ornithine/index.html
キノコのホクト
・https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/jiten/jiten05/
<参考文献>
①https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22133808/
2012 Jan 11;506(2):287-91.doi: 10.1016/j.neulet.2011.11.024. Epub 2011 Nov 23.
②https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24889392/
2014 Jun 3;13:53.doi: 10.1186/1475-2891-13-53.
③https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22053755/
2011 Nov;14(6):243-8.doi:10.1179/1476830511Y.0000000018.