こんにちは!!薬剤師ケイティです。
このブログを始めて、まだ20記事目と、ブログ界ではド素人の自分ですが、
薬学や医学に関すること、化学、栄養学や薬膳などは、長い年月かけてずっと勉強してきました。
今回、レタスに関して再度勉強して、知識を深めたり、
他のブログがどんなことを書いているのか勉強させていただいたりして、
文章をまとめていたんですね。
そ・・・そしたら、何と!!こんな文章を多く発見してしまったのです。
いやいやいや!!!なぜそうなる?
「料理系、栄養系での、検索ランキングでトップ20位くらいまでは、みんな間違った内容じゃないですか!!」
と気づいてしまいました。
しかも、多くはその前後の文章が同じような内容だから、
『もしかしたら、ある人の内容を参考にして、みんな同じように書いちゃったのかな?』と感じた次第であります。。
ネットの誤情報ってホント怖いですね!!
この検索ランキングの上位って、
大手メーカーさんや人気料理系ブログなども含まれていて、
毎月かなり多くの人たちが、この情報を信用して見ているのだと思うと、
「怖いな」と感じてしまいました。
人間、一人で書いていれば、どこかにミスかあったり、間違える可能性はあります。もちろん、それは私も同じです。
でもいつも「これは本当に合っているのかな?」と考えながら発信することは、すごく大事だと思いました。
「○○さんが言っているから」と信用してしまうのは、間違っていたり、偏った考えになる可能性があります。
今後の自分自身に対する戒めにします!!
残念なことに、検索上位トップ20位に入る食品メーカーさん、人気の料理系ブログで、正しく書いてくれている人は、一人もいませんでした😢(2022年1月現在)
ちなみに、植物学者さんや農学・生命機能関連の先生が書いた記事や、医薬論文系サイト、植物生物学系サイト、wikipedia などでは、検索上位50ほど見ましたが、ちゃんと正しいことが書いてありました。
だから「誰もポリフェノールを分かってなかった」というのは言い過ぎなのですが、少なくとも料理系、栄養系で上位表示されるサイトでは、ほとんどが上の表記になってまして…
これはけっこうショックでした。
最近、話題になっている「ネットリテラシー」に対する啓発は、とても大事なことだと感じました。
では、「そもそもポリフェノールってなんなの?」ということをできるだけ簡単にご説明できたらと思います。
<目次>
⑴レタスの成分●●は、ポリフェノールじゃない?!
⑵「ポリフェノール」というものをできるだけ簡単に説明!
⑶ポリフェノールの働き、含まれるもの
⑷あれれ?▲▲も、名前が間違っているよ・・・
⑴レタスの成分●●は、ポリフェノールじゃない?!
レタスの成分として「ラクチュコピクリン」をご紹介しました。
昔から「鎮静作用、催眠作用がある」と言われ、
「レタスを食べると眠くなる」と言われる原因の成分ですね。
(最近の医薬系論文でも、情報を見つけたので、よかったらご参照ください)
【URL】
この成分について、「ラクチュコピクリンはポリフェノールの一種で〜」と書いてあるブログが大変多いですが、
ラクチュコピクリンはポリフェノールではありません!!
しかも、「間違った知識+正しい知識」が混在してしまっているのか、
「ラクチュコピクリンはポリフェノールの一種なので、
こんな作用、あんな作用もあります(←ポリフェノールの作用)」
などと書いてあるブログも・・・
もう、それは完全に違っちゃってるよ〜〜〜💦
①ラクチュコピクリン
≠②ポリフェノール=③ポリフェノールの作用
つまり、①≠②で①≠③なのですから。
正確には、化学構造を見れば分かります。
そもそも「ポリフェノール」は、化学構造の名前なんです。
⑵ポリフェノールとは何か?できるだけ簡単に説明
じゃあポリフェノールって何?と言いますと、
「ポリ+フェノール」で、
フェノール(フェノール性の-OH基)が
「ポリ」(複数くっついている構造)という意味なんです。
だから、本来なら、構造式を見て「ポリフェノールか、そうじゃないか」分かるんですね。
ポリフェノールとは、複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を分子内に持つ植物成分の総称。
ちなみにそのフェノールがこちら。
フェノール性の-OH は、黄色で囲ってあるところです。
だから、ポリフェノールってこういう構造になります。
↓こちらはコーヒー、ゴボウなどに含まれる
(レタスにも含まれると最近分かってきた)
クロロゲン酸というポリフェノール
↓こちらは、カテキン。
ご存知の通り、お茶に多く含まれるポリフェノールです。
(+)-カテキン
では、レタスに含まれる「ラクチュコピクリン」は?
↓こんな構造をしています
あれれ?「フェノール性の-OH」は、1個しかないよ???
つまり、「ポリ」フェノールではないってことですね。
ラクチュコピクリンは、「セスキテルペンラクトン」という構造に分類されます。
レタスの成分「ラクチュコピクリン」は、ポリフェノールではなく、
セスキテルペンラクトンという構造なんですね。
(セスキテルペンラクトンの構造に関する詳しい説明は割愛します。wikipedia などご参照ください。https://ja.wikipedia.org/wiki/セスキテルペンラクトン)
だから、本来ポリフェノールとは「何か暗記するもの」ではなく「構造式を見れば分かるもの」なんです。
以上は、薬剤師国家試験にも出題される範囲でしたので、
薬剤師の方なら、構造式を見ればすぐ分かるかと思います。
ただ、一般には化学構造を覚えている方は少ないと思いますし、
料理するときなどにすぐに知識を使えるよう、
「ポリフェノールには、何と何がある」と覚えておいても良いかもしれません。
「ポリフェノールには何があるか」忘れてしまったら、wikipedia などに戻って知識を思い出してくださいね。笑
⑶ポリフェノールの働き、含まれるもの
ポリフェノールはほどんどの植物に含有され、5000種類以上の種類があります。
植物の色素や苦み成分であり、もともとは植物自体の細胞を生成したり、成長促進したり、活性化させるために存在しています。
人間にとっては、古くは染料や食品、化粧品などに使われてきましたが、
1992年、フランスのボルドー大学が、赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールに着目。動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進作用が向上すると発表しました。
代表的なポリフェノールとして、
フラボノイド
・カテキン:ワイン、茶、りんご、ブルーベリーに多く含まれる。殺菌作用、血中コレステロール低下、高血圧予防など。
・アントシアニン:赤紫色の色素。ブドウ、紫芋、ブルーベリーに多く含まれる。肝機能向上、疲れ目の解消など。
・タンニン:茶、赤ワイン、柿、バナナなど。渋味成分で殺菌効果あり。
・ルチン:ソバに多く含まれる、ビタミンの一種でもある。
・イソフラボン:大豆や大豆加工食品、葛などに含まれる。女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同様の働き→アンチエイジングの観点から注目されている。
フェノール酸
・クロロゲン酸:コーヒーに多く含まれる。レタスにも含まれていることが分かった。消化器、代謝性疾患を改善。
リグナン
・セサミン:ゴマに多く含まれる。
クルクミン
ウコンに多く含まれる。黄色の色素。
クマリン
桜の葉、シナモン、パセリ、桃、柑橘類に多く含まれる。天然の良い香りの成分。
その仲間である「フラノクマリン骨格」はグレープフルーツ(ジュース)に多く含まれ、複数の薬の代謝酵素を阻害することから、薬との飲み合わせに注意する必要がある。
⑷あれれ?▲▲も、名前が間違っているよ・・・
もう一つ、かなり気になったことがあります。
正直、知っていても知らなくても、どちらでもいい細かいことです。
しかし、ブログ記事を書く時に、間違いがないか確認作業、知らないことは調べる、などやっているか、やっていないかがすぐに分かる、
ブログへの取り組み方が分かる重要なことだと思いました。
誰かのブログを見て、そのままちょっと変更して書き写してしまったりすると、このようなことが起こるのではと感じました。
それは、レタスに含まれる成分「ラクツカリウム」のことを、
「ラクツカニウム」と終始間違って書いてしまっているブログが散見されたことです。
「ラクチュコピクリン」「ラクツコピクリン」
「ラクチュカリウム」「ラクツカリウム」
これは読み方の問題なので、どちらでも大丈夫です。
しかしlactucarium、これを日本語表記する時、
「ラクツカニウム」とは読まない気がします。
すごくマニアックな単語なので、私も知りませんでした。
知らなかったから、勉強して書きました。
この「読み間違い、タイプミスかな」と思われるミスが、前後の文章を含めてみんな同じ間違いをしているのに気づくと・・・
さらにそれが検索トップの人気ブログだと・・・
ちょっとネットの情報、そのまま信じていいのかな?という気持ちになりました。
今回は、ネットリテラシーへの注意、自分自身への注意を含めて、
「ポリフェノールって何?」ということについて説明させていただきました。
化学構造そのものが慣れないものだと思うので、ちょっと見難かったかもしれません。
やはり「情報源」は大事にしていきたいと思います。
複数の情報源から情報収集することも大事ですね!
引き続き、レタスをはじめ、食材に関する記事も書いておりますので、よかったらご参照ください。